太陽がまぶしかったから

C'etait a cause du soleil.

見た目はスイーツなのに中身はピリ辛な「酒彩蕎麦初代」のクリームカレーうどんが日本酒の〆に効く

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Google Mapに表示される初代クリームうどんとは!?

 うどんと言えば安価な讃岐うどんをイメージしてしまいがちだが、しっかりとしたカレーうどんには特別感がある。呑んだ後のカレーうどんの美味しさは、豚骨ラーメンを超えるやもしれない。

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 「酒彩蕎麦初代」との出会いはGoogle Mapに表示された「初代クリームうどん」という言葉。クリームうどん界にも「元祖クリームうどん」vs「本家クリームうどん」などといった起源論争があるのかと思いながら来訪したら、店名が「初代」である。

板わさと6種の塩で頂く白魚の天麩羅でうどん前を堪能

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 クリームうどんがイチ推しメニューになっているが、「酒彩蕎麦初代」の店名通り、基本的にはお酒が呑めるお洒落な蕎麦屋。恵比寿駅近くで朝4時まで営業しており、深夜であっても客足が途絶えることはない。

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 カウンターに座るなり蕎麦前ならぬ「うどん前」に板わさと日本酒を注文。カウンター席があるのがおひとり様にはうれしい。板わさはおかめそばの材料をアテにしたのが由来と言われる伝統的なメニュー。蕎麦屋の初手でビールとカマボコを頼むのは「ボコビー」と呼ばれるが、個人的には蕎麦屋に入ったら日本酒を頼みたいところ。全国から選りすぐりの地酒から注文すると竹のお銚子に入って提供される。

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 鮫肌でおろしたたっぷりの山葵を蒲鉾に乗せると酒が進む。もちろん良い蒲鉾を使ってるのだろうが、板わさとは山葵と醤油を心置きなく楽しむためのツマミである。刺し身の主役はあくまで魚本体になるが、蒲鉾は山葵を引き立てる脇役の分を弁えていると言えよう。

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 人気メニューの白魚揚げです。揚げたてのサクサクで塩が甘味を引き立てる。

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 なんと六種類の塩があって、これらの組み合わせで味の変化を愉しむことができる。

 塩だけをアテにしてお銚子をもう一本頼むのも良い。「素材の味を楽しむ」というキャッチコピーがあるが、蕎麦屋の場合はむしろ逆で「山葵を味わう板わさ」「塩を味わう白魚揚げ」「焼き蕎麦味噌」といった調味料をちびちび味わいながら日本酒を嗜むのが楽しい。

とろとろスイーツみたいなカレーうどん

 良い塩梅になってきたので〆のクリームうどんを注文しておく。麺が茹で上がるまでの待ち時間をまったりと過ごせるのが、蕎麦屋呑みの醍醐味だ。

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 これが通称クリームうどん(正式名称は「初代のカレーうどん」)である。その正体はじゃがいもマッシュポテトに生クリームを加えたムース。驚きの白さ。

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 すこしだけ残しておいた白魚の天麩羅を揚げ玉のように活用できます。白いムースの下側にあるスープはホワイトカレーではなく、出汁でとかれた黄色いカレー。スイーツな見た目に反してちょっとピリ辛の力強い味。クリーム・出汁・カレー・うどんが絡みあって、日本酒で酔った身体に心地よく響く。クリームカレーうどんも調味料を味わうための一品なのかもしれない。

 アテと日本酒をゆっくりと味わいながら、〆のクリームカレーうどんを持つ時間の豊かさ。すこし疲れた夜に心と身体をいやしたい。