ハリガネムシのトラウマ
ハリガネムシは昆虫を宿主にする寄生中であり、寄生した宿主を操ってハリガネムシの産卵場所である水辺に飛び込ませる事が知られている。「宿主の行動をコントロールする」という独特の生態が不気味で、人間が寄生されるホラー漫画や怪談の題材にもなっている。
成虫になると何らかの方法で宿主から出て、池や沼、流れの緩やかな川などの水中で自由生活し、交尾・産卵を行う。陸上生物に寄生した場合は水中に脱出する機会に恵まれず陸上でそのまま乾燥してしまうケースも少なくない。乾燥すると外見が錆びた鉄の針金のようになり硬くなるが、水を浴びると元に戻る。
(中略)
ヒトへの寄生例が数十例あるようだが、いずれも偶発的事象と見られている。ハリガネムシを手に乗せると、爪の間から体内に潜り込むと言われることがあるが、全くの俗説で、成虫があらためて寄生生活にはいることはない。
現実には人間に寄生する事はまずないし、寄生しても行動支配はできないのだけど、「寄生されて支配される」というトラウマを与えるには十分である。『投稿!特ホウ王国』でも「水に入れると動き出す虫」として紹介されていた。
ハリガネムシが宿主の行動を支配する仕組み
ハリガネムシが宿主の行動を支配する仕組みは永らく謎だったのだけど、近年の研究で明らかになりつあるらしい。いわく、ハリガネムシに寄生されると神経の異常発達や、場所認識や、光応答にかかわるタンパク質が脳内に発現して、水面に反射した「光」に反応して飛び込ぶそうである。
「行動実験と分子生物学的な実験の結果を合わせて考えると、おそらく神経発達をグチャグチャにして異常行動をさせながら、光応答の仕方を変えて、水辺に近づいたら飛び込むというような、2ステップで行動操作を巧みにしてるんやってことが、今は想像されてます」
https://business.nikkeibp.co.jp/article/report/20141110/273636/
「高度なマインドコントロールが行われているわけではない」までは想像通りなののだけど、なぜ脳内に特定のタンパク質を発現させるのかという点で大いなる謎が残る。ハリガネムシ自身は因果関係を意図しているのだろうか。「適者生存」と言うのは簡単なのだけど、それにしたって不思議な話である。この世にはまだまだ分からない事が沢山あるんだと思い知らされる。