目立たないウエアブルコンピュータの必要性
「服のボタンさえウエアラブル端末になる」――。少し前のことになるが、2015年1月6日から9日まで開かれた「2015 International CES(CES 2015)」の基調講演で、米インテルのブライアン・クルザニッチCEO(最高経営責任者)はこう言って、指先ほどの大きさの機器を掲げた
ウエアブル端末にとって重要な「機能」のひとつは「目立たない」という事である。ウエアブル端末は長時間付けるほどに効果を発揮するわけで、装着している事を本人や周りの人に明確に意識させてしまっては十分な効果を発揮しにくいのだ。かつてあった『Watch - Apple(日本)』の非公式コンセプト画像にも「クール過ぎて使えない」という感想を抱いた。
一足先に『fuelband』などのリストバンドも流通したが、本当につけ続けていられるか? と問われると疑問符が付くようなものばかりであった。特に日本の会社内においてはね。
実際の『Watch - Apple(日本)』の見た目は普通の腕時計になっているのだけど、画面や操作はスマートフォンですればよいわけだし、「つけ続ける」という観点においては、画面がついていない方がよいのではないかとも思う。
目立たない事を売りにする
実際、CES 2015でも「いかに目立たせないか?」をコンセプトにしたウエアブル端末の発表が多かったそうだ。
SHINEは加速度センサーを搭載しており、オフィスやスポーツなどのシーンで身に着けている人の身体の動きを可視化する。しかし、多くのリストバンド型のウエアラブル端末に見られるディスプレーがない。宝石のような見た目を犠牲にしないためだ。SHINEの出荷は、2015年3月を予定しているという。
SHINEのセンサーを搭載している宝石部分は着脱可能だ。ネックレスやブレスレットなどに取り付けることで、違った楽しみ方ができるという。展示の説明員は「ターゲットが女性。女性は身に着けるアクセサリーを日々変えたい、というニーズを満たす」と話す
ウェアブル端末が提供する機能そのものはどれも似たり寄ったりになる傾向にある。しかし、だからこそ「生活に違和感なく紛れ込める」という機能が最大の差別化ポイントになっていくだろうと思う。小型化、電池交換が少ない、耐水・耐衝撃性などの総合点であったり、まったく別のアプローチもありえるだろう。
ある種 iPhone などのガジェットは普段使いの中でも目立つ事で自慢できるという効用もあったのだけど、ことウエアブル端末においては、開示しない限りは気付かせないという事が自慢のポイントになるのかもしれない。いかにも感があるとダサいし、結局使われなくなってしまう気がするんだよね。