第二回Skype読書会
昨夜は『一九八四年[新訳版] (ハヤカワepi文庫)』を題材にしたSkype読書会をしていた。Skype読書会とはその名の通り、テーマとなった本についてSkypeの音声チャット機能を用いて複数人で語り合う会合のこと。前回は『車輪の下で (光文社古典新訳文庫)』について話して、『車輪の下「で」 - 太陽がまぶしかったからや』『第1回Skype読書会『車輪の下で』結論:恋って素敵 - 太陽がまぶしかったから』などを書いた。
後で話し合うのを前提にするから丁寧に読み込むようになるし、うまく説明しきれない自分を認識することで、分かったつもりになっていただけだと気付く事もできる。色々な角度の意見を聞きながら自分の意見を出す中で、新しい見方が発掘されたりして楽しい。Skypeの音声通話を利用するので地方在住の人や顔出しNGの人も自宅から適当な恰好で参加できるし、お酒を飲みながらでもOK。わざわざ集まるとなると怠いけれど、Skypeなら気軽に参加できる。
Skype読書会の運営形式は以下の通りにしている。もちろん形式張ったものではないのだけど、こうした方がスムーズだったということ。Google Docsによるリアルタイム編集は本当に便利である。
開催前
- 開催の2週間以上前に開始日時とテーマとなる書籍名を告知
- 参加者は開催の前日までにブログ等で自身の感想文を発表
- Google Docsで簡単なアジェンダ等の共有ドキュメントを作成
- 翻訳本の場合は版元によって固有名詞などが異なる場合があるので読んだ本の版元を書いてもらう(今回は徹底できなかった)
開催中
- Skypeの会議通話を前提とするが、文章編集やチャットでの参加を中心にしてもOK
- Google Docsの共有ドキュメントを議事録兼メモ帳として皆で拡充させる。ドキュメントに書き込む際のテキスト色を個人ごとに割り振っておき、内容としては好き勝手に書いてOK。基本的には時系列で追記していく。
- 音声かぶせをすると収拾が付かなくなるので、発言している人の話の腰を折らない。発言を終える時には「以上です」などの言葉があると他の人が続けやすい。
- 共有ドキュメントに書き込むことでツッコむのは積極的にしてOK。ツイキャスのイメージ。
- 途中退席自由(チャットにその旨を書く)
開催後
- 「あるの議論」と「べきの理論」を分けてまとめる
- 次回の題材本について話す
- 可能であれば感想エントリを書く(共有ドキュメントの内容は自由に使ってOK)
Skype読書会の最大の効用
Skype読書会の最大の効用は「開催日までに本を読もうとする」という事もかも知れない。比較的硬めな古典を題材にする流れが多いが、これは読書会がなければ読まなそうだから敢えて選んでいるという側面もある。僕には『海外文学を最後まで読み通せない教養コンプレックス保持者として生きる - 太陽がまぶしかったから』という弱点というか、苦手意識があるのだけど読書会があるとなれば苦労して読もうとするし、リズムに慣れてしまえば非常に面白くなってくる事が多い。そもそもが「名作」なのだからね。
今回の『一九八四年[新訳版] (ハヤカワepi文庫)』は大著ということもあって、『1984 [DVD]』と『1984年 (まんがで読破 MD100)』もアリにしたのだけど、全員がちゃんと読めたし、感想エントリも書けていた。僕自身も『『1984年』の言語論的転回と際限のないバズワード生成について - 太陽がまぶしかったから』と『第2回Skype読書会『一九八四年』〜意志力対決に勝ち続ける意志力 - 太陽がまぶしかったから』を書いている。その上で話しあうので多角的に理解できた。
最初から奇を衒う必要性があった新しい本や文章を無理に読もうとするよりも、古典的名作をちゃんと自分に取り込んでいきたいというのはある。それは『ノルウェイの森 上 (講談社文庫)』で永沢さんが語る通り、「死後30年を経ていない作家の本は原則として手に取らない」を思い描いていていて、存命中の村上春樹の小説を読んで思うのも矛盾を孕んでいるけれど。
次回のテーマは『ドグラ・マグラ』。実は2回ほど読了しているのだけど、未だに何を言いたいのかよく分からないので、題材にしてみた。参加されたい人がいたらご連絡ください。そんなわけでSkype読書会楽しいよ。
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