太陽がまぶしかったから

C'etait a cause du soleil.

平直行『U.W.F.外伝』〜刃牙のモデルとなった黎明期のプロ総合格闘家自伝

U.W.F.外伝

プロレスの敵だった総合格闘

 中学生の頃から毎週のようにワールドプロレスリングGAORAのプロレス放送を観ていたし、ここ最近でもKindle Unlimitedで『週刊プロレス』や『有田と週刊プロレスと』が欠かせない。

 当初から斜に構えていたのでヤオだのガチだのに幻滅することもなかったのだけど、プロレスの共同幻想が社会的に壊された高田 vs ヒクソン・グレイシーなどの流れを猛烈に毛嫌いしていた覚えがある。

 本書は、「PRIDE以前」のシューティング・シュートボクシング・リングス・K-1UFCに参戦し、グラップラー刃牙のモデルになったとも言われる総合格闘家の自伝。「プロレスの敵」だと思っていた総合格闘第一章の当時の状況や思考の貴重な記録であり、彼らのプロレス愛やプロレスへの畏敬を感じる書籍となっている。

UWF という格闘技「風」プロレスの爪痕

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鳥貴族の隔離個室カウンターで金麦をやりながら読書する独身貴族

鳥貴族の隔離個室カウンター

 ここのところで、帰り道に誘われがちなのが鳥貴族での飲酒読書。いまさら鳥貴族かと思うかもしれないが、店の作りが「おひとりさま」に適した作りに変わってきたのだ。

 カウンターは2人までの個室で仕切られ、注文はタッチパネルのタブレット経由。

 醤油とかつお節が決めての和風ポテトサラダをツマミつつ、どでかい樽生金麦をちびちびやれば事実上のドリンクバー。298円均一のビールは小さく金麦は大きい。どちらが貴族なのかという話ではなく、選択肢があることこそが貴族なのだろう。

山椒たっぷりの貴族焼きで満足

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ふろむだ『人生は、運よりも実力よりも「勘違いさせる力」で決まっている』〜一貫して偏った、説得力のあるアジテーションで勘違いさせる力

人生は、運よりも実力よりも「勘違いさせる力」で決まっている

運と実力だけじゃない

 本書は『分裂勘違い君劇場 by ふろむだ』を運営する ふろむだ ( id:fromdusktildawn ) 氏の著書。分裂勘違い君劇場といえば、新会社員になりたての頃に散々読み漁った記憶があるブログ。よちよちだった自分の考え方に良くも悪くも影響を及ぼしていたと思う。

 大まかなノリは上記エントリの通り。タイトル通りに運と実力よりも、他人に「こいつはすごい」と勘違いさせる力がないと相応のステージが用意されずに結果として実力もシュリンクしていく現実を説く。価値工学における付加価値算定には「使用者優先の原則」が不可欠であるが、結局のところで使用者が錯覚や勘違いを含んで判断する価値算定によって評価されるのだから、価値算定自体をハックするインセンティブも働く。

分裂勘違い君劇場の作り方

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