ちょっとした外出だからこそ気を抜けない
毎日のレトルトカレーはむしろ快適なのだけど、曜日感覚は完全に破壊されたように思う。海上自衛隊では曜日感覚を失わないように金曜日の昼にカレーを食べると云うが、自分の昼食は毎日がカレー。さながら毎日が金曜日なのに明日も仕事だという奇妙な感覚を抱き続けているし、それでいて土曜日も普通に仕事のメールチェックをしている。
毎日のレトルトカレーにも流石に飽きてきて、ちょっと頑張ったご褒美と軽い運動を兼ねて弁当屋まで歩いて行くことが増えたのだけど、店内で咳をしている人をみて色々と無理になってきた。
じぶんの中に生まれてしまったケガレ意識を直視するのもしんどいし、ちょっとした外出だからこそ気を抜かずに着替えやシャワーをする必要もあって、ぜんぜん休まらないことに気がついた。洗濯量も増えるしね。
Uber Eats が本当に代行しているもの
そんなわけで、Uber Eats に食事宅配を頼む事が多い。玄関前まで温かいご飯を配達して去ってくれるからドライバーに対面する必要すらない。調理中だとか袋にだとかのリスクを考えたらキリがないけれど、わざわざ着替えてシャワーを浴びなくてよいのは大きい。
イノベーションの成否を分けるのは、顧客データや(この層はあの層と類似性が高い。顧客の68%が商品Bより商品Aを好むetc.)、市場分析、スプレッドシートに表れる数字ではない。鍵は“顧客の片づけたいジョブ(用事・仕事)”にある。世界で最も影響力のある経営学者が、人がモノを買う行為そのもののメカニズムを解き明かす、予測可能で優れたイノベーションの創り方。
「顧客があるサービスを雇用して片付けたいジョブ」を探るジョブ理論に沿って考えると、自分自身は運動や気分転換という観点から積極的に「移動」はしたいが「着替え」や「シャワー」はしたくない。つまりUber Eats を移動の代行ではなく「着替え」というジョブを代行するために雇用している。出来立ての美味いご飯を食べたいのは前提として。
Uber Eats を雇用する予算シフト
それにしても Uber Eats はご飯の質だけを考えれば割高である。弁当屋で700円を払えばかなり豪華な弁当が食べられるが、配送費や手数料を考えると1,200円ぐらいからやっとまともになるし、ちょっと豪勢な注文をしたら総額2,500円を超えてくる。
もっとも、以前まではよく独り飲みをしていたし、そこに3,000円を払うのが当たり前であった。独り飲みで解決したかったジョブは1日が仕事だけで満たされたまま家に帰って寝ることへのささやかな抵抗だったのだけど、今は「家に帰る」という状態がないし酒も飲まないから無意識に確保していた予算枠が余っている。
キャバクラにいけなくなった人がオンライン配信に投げ銭をしたり、パチンコにいけなくなった人がソーシャルゲームに重課金したりと、それぞれの予算をシフトさせながら同じようなジョブを解決できるサービスを探していくのが消費者だ。僕自身にとっては独り飲み会の予算がシフトされて Uber Eats を着替えの代行として雇用するようになったのだと理解した。