女子プロレスが心の常駐プロセスになっている
基本的には無趣味で読書や散歩ぐらいしかしてないのだけど、女子プロレス団体STARDOMには長いことはまっている。実際的には数ヶ月ごとの現場参戦やサムライTVやアーカイブ配信サービスに加入している程度で遠征やグッズなどには手を出していない。だけども、日々の暮らしの中で1度も思わない日はない程度には僕の心の常駐プロセスになっている感覚もある。
他団体から強引とも思える移籍を果たしたジュリアが連れてくれる選手についての予想が否が応でも盛り上がってくる。最近フリーになったあの選手は同じ時間に群馬にいるから参戦できないとか、この選手は契約に縛られているからとか必要以上に業界事情に詳しくなりながら記者会見や週刊プロレスや Twitter の一言一句を見逃さないようにしている自分がいる。
そもそも試合が毎日あるわけでもないが、2年前にも書いていたように日々何かしらの話題が発生して、それを追うこと自体が娯楽になっている。「Twitterプロレス」とも呼称されるようにTwitterを中心にして選手達が発信する何らかの揉め事やほのめかしなどが常に行われており、記者会見やインタビューや生配信などの動画サービスでストーリーが進行し、現場の大会でフィジカルな決着がされてまた次のストーリーが続いていく構造にある。
【2月18日(金)】
— カクトウログ📶プロレス/格闘技 (@kakutolog) 2022年2月18日
《#スターダム ファンは仕事どころじゃない!?》
11:00 秋葉原書泉ブックマート #中野たむ サイン本追加販売
18:00 #stardom #謎の女性 両国会見
19:00 #プロミネンス プレ旗揚げ
21:00 #矢野通 配信
26:30 #新日ちゃんぴおん。
🔻週末のTVイベント🔻https://t.co/KIiCfKf2AU pic.twitter.com/qrzepHlrc3
とにかく色々なことが立て続けに起こっていく金曜日。その上で選手達にはアイドル顔負けのルックスと肉体美があるし、良い意味でヒーローショーのような試合もあればクラシカルな攻防をする技術も磨かれている。2.5次元ミュージカル的でもありながらもアスリートとしての汗臭さがそのままパフォーマンスに影響する世界。
Twitterプロレスの安全に痛い炎上
実際的なTwitterプロレスは内輪の問題ばかりだし、細かい文脈の全部を拾わなくても楽しめるのだけど、妙にツボをついてくる見立てやキャラクター付けがなされているし、ファンの誰かしらが文脈の解説アシストをしてくれる。過去にエンタメプロレスをしていた団体はあくまで番組パッケージ内での茶番だったのが、TwitterやInstagramやYoutubeの盛り上がりこそが面白さの半分になっている。本当の炎上とは別のレイヤーで誤用的に使われる「プロレス」としての安全に痛い炎上が起こっている。
所属するユニットによってイデオロギーが違う前提のもとで罵倒や平行線を続けて、ついにフィジカルな試合に至るのはOFF会で論敵に出会って河原で殴り合うようなもの。オープンレターに比べてなんと爽やかなことか。それでもTwitterプロレスで盛り上げられるのかは通常の試合とはまた違う能力が求められるし、全部が打ち合わせや台本通りにはいかないし、観客の反応や楽しみはリアルだ。あまりにピュアな人や誹謗中傷する人も混じってきてしまっているのは残念なことだけど。
最近ではプロパー、出戻り、転職組(元職派閥あり)、フリーランスと入り乱れつつ、中間管理職としての若手育成・プロデュースの対決だったり、問題社員を受け入れる部署の在り方や情報漏洩問題みたいな見立てになっていて、かつてのWWFでなされていた経営者vsブルーカラーのオマージュから一歩進んだ課長の悩みのようなストーリーラインが妙に楽しい。「この角度でみると楽しい」を妄想的に見出すこと自体も娯楽だ。
何でエモいのかをあまり上手く説明できないのも良い
最近ではWWEに所属していた元スターダムの宝城カイリが復帰したり(発表に至るまでにも随分と楽しませてもらった)、14歳でデビューしたスターライト・キッドが6年かけて週刊プロレスの表紙になったりと、また世間的にも盛り上がりはじめたのだけど、改めて最近のスターダムにまつわる諸々が僕の心のヤバいやつになっている。
有田哲平が入門動画を出しているので、その辺から入ってみるとハマる人にはハマるかもしれない。なぜそれがエモいのかをSNSで言語化するには、前提となるコンテキストが多すぎて一度に説明しても共感され辛いのだけど、だからこそ長く見るほどに俺じゃなきゃ見逃しちゃうねおじさんとしての楽しみも増えてくる。何にせよ日々のちょっとした楽しみとして STARDOM 発の話題が提供され続けていくのは楽しい。その一方で、それがなくなった日に耐えられるのかが分からない怖さもある