太陽がまぶしかったから

C'etait a cause du soleil.

スターダム後楽園ノーピープルマッチと投げ銭Youtuber化していくプロレス

【実録】昭和・平成女子プロレス秘史

スターダム関連のイベントがコロナウィルスの影響で中止

現在発生している新型コロナウイルス感染症の情勢を鑑みまして、お客様や選手をはじめとした関係各位の健康と安全を第一に協議しました結果、3月14日までスターダム主催興行・イベントの開催を中止とします事をご案内申し上げます。

 コロナウィルスの影響でスターダム関連のイベントが中止になった。狭い空間に沢山に人が集まる上に、現代の女子プロレスは選手が売店に立ってグッツ販売やサインや写真を撮るのも重要な収益源となっているので選手への感染リスクが高いと判断されたのであろう。

 その上で、大きな判断だったのは後楽園での無観客試合の開催と Youtube でのライブ配信である。予約済の後楽園ホールをキャンセルできないといった事情があるのにせよ、今後の女子プロレスを考えるのにあたっての大きな実験となるのではないかと思う。

現代のノーピープルマッチは有料配信ありき

 元々プロレスにはノーピープルマッチと呼ばれる形式があって、最低限の会場でコンテンツを作成してテレビ放送や有料配信サービスで収益を上げる方法がある。有名なノーピープルマッチといえば、アントニオ猪木とマサ斎藤による「巌流島の闘い」であるが、昨今ではニコニコ生放送を前提に無観客試合を続ける「19時女子プロレス」や、後の有料配信やYoutube広告やDVD販売等を前提に極小の箱で開催される自主興業も珍しくない。

 従前までのプロレスの収益は観戦チケットによる物が大半であったが、海外ユーザーや地方ユーザーを中心に有料配信サービスが活況化している。国内最大の新日本プロレスワールドという有料配信サービスの登録者数は10万人を突破しており、月999円の課金で実に年間12億もの売上となっている訳で、配信映像コンテンツ制作・運営会社としての側面も強くなってきている。

投げ銭とライブコマース

 それでは、同じやり方でスターダムの有料配信サービスが海外も巻き込んで大きくグロースできるのかと考えると、シビアに考えざるを得ない。紫雷イオやカイリ・セインといった現在のWWEスーパースターの過去映像を配信することで一時的に海外ユーザーをふやす事もできるであろうが、過去コンテンツだけではサブスクリプション継続会員にはなり得ない。そこで重要になるのが投げ銭とライブコマースであろう。

 Youtube にはスーパーチャットと呼ばれる投げ銭付きのチャットメッセージを送れる機能があり、Youtuber から「ライブ配信中に反応をもらう」ために数百円から千円程度の課金を惜しまない文化があり、売店でツーショット写真を撮ってサインをして千円という現状の女子プロレスに近しい部分がある。しかしながら、試合中に反応をもらうのは難しいわけで、いかに試合後インタビューなどの時間でチャットとのふれあいを作るかが投げ銭の肝になると思われる。

 またライブコマースと呼ばれるライブ配信中でのグッツ販売告知や本人が身につける事による販売促進も考えられる。スーパーチャットと同じく購入報告によって自分への反応を引き出せる事がインセンティブとなるため普通に店に置くよりも爆買いを誘発するという。ECサイトPR大使をたてて通信販売に力を入れるという発表もなされていたが、そのような展開を見越しての事であろう。

全てが配信コンテンツになっていく流れ

 このようにして女子プロレスのライブ配信コンテンツ化とその派生的収益拡大の実験を進めていく意図のようなものを感じているのだけど、考えてみれば大食い選手も格闘ゲーマーも賞金で食べていくのではなく、配信者としての収入が本業になっていきがちでだ。

 視聴者としても同じような熱狂や楽しさを求めているので、実際に動く競技自体は代替可能だったりもする。大食い選手 vs プロゲーマーの異種格闘戦まであるし。

 その上で女子プロレスには、まだまだマスメディアへの取材が入りやすい土壌があるし、無料のライブ配信のなかで投げ銭、グッズ販売、有料配信。そして希少性のあがった試合観戦につなげていくエコシステムができていくのかもしれない。賛否両論はあるだろうがブシロードはしたたかだ。

【実録】昭和・平成女子プロレス秘史

【実録】昭和・平成女子プロレス秘史

  • 作者:ロッシー小川
  • 発売日: 2019/01/28
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)