太陽がまぶしかったから

C'etait a cause du soleil.

ソーシャルディスタンス時代の臭い格差解消とデオドラントの衰退

あせとせっけん(1) (モーニングコミックス)

臭いを感じさせるリスクに過敏になる

 ブレスケアのCMで息が臭いとか、それが爽やかになったみたいな表現があるのだけど、現在においては「密です」と言わざるを得ない。仮にどんな爽やかだったり、芳しかったりしても口臭を感じるほどに粘膜が近付いている時点で飛沫感染のリスクがある。

「君の体臭は素晴らしい! 新商品の石鹸開発のため、これから毎日、君のにおいを嗅ぎに来ます!」と言われてしまう。でも、においを嗅がれるのは、そんなに嫌でもなくて…。

 匂いを感じるほどに近づきたくない前提においてはデオドラント用品や香水の需要も減っていることだろう。映画館の4DXだったりVRテーマパークなどでは匂い表現もあったが、リモートワークやリモート飲み会で匂いを伝える様になるとも思えない。

臭い格差解消とカメラ越しの接近

 リモートタバコミュケーションの機会均等も臭いの延長線上にある。マッチングアプリで「タバコなし」にチェックを入れるのも結局の所で臭いの問題だし、体臭は生理的な問題として根深い。ある意味では臭い格差の解消がこれまでマッチングしえなかったオンライン恋愛の多様化に結びつくのかもしれない。

いくら外見を整え、上品な所作を真似してみせたとしても、長年、半地下で暮らしてきた臭い(“煮洗いした布巾のような臭い”、“地下鉄の臭い”とパク家の父親は表現します)は体にしみついていてそれが決定的にキム家とパク家を断絶しているという事実は衝撃的です。

 『パラサイト〜半地下の家族』でも半地下で染み付いた臭いが格差の象徴として描かれるのだけど、リモートでの仕事や会話が前提になるとその様な事も減る。カメラ越しであればいくら接近したところで無臭なのだ。もうずっとリモートのままであれば互いに臭いのことを気にせず近くづくことができるのかもしれないし、好きな匂いに惹かれる事もないのだろう。