太陽がまぶしかったから

C'etait a cause du soleil.

若い人は「サブカル好きです」を「オタクです」の代わりに使うらしい

オタクはすでに死んでいる 電子版

サブカル好きです

 呑み会などでたまたま席が近かった若い人と話した時に「サブカル好きです」という自己紹介をされてビックリすることがある。具体的な話を聞いていくと特定の音楽ジャンルとか演劇とか映画とかに細分化されるのだけど、じゃあ最初からそれを言えよという気分になったりもする。

 どうも、若い人はリアルワールドオンラインにおいて「サブカル好きです」を「◯◯オタクです」の代わりに使う傾向があって、ジャンルよりも先にサブカル好きという属性自体をアピールしたがる傾向にあるようだ。

 おそらく具体的なジャンルの深耕はネット空間内で同好の士同士で集まれているから踏み込む必要がないし、「オタク」と表現するとデフォルトで「萌え」や「挙動不審」と紐付いてしまっているのがイヤなのだろう。リアルワールドにおいては、「サブカル好き」同士で緩い仲間を作ったほうが色々な意味で楽だ。

オタクはすでに死んでいる

 オタクと萌えが紐付いてしまう違和感は岡田斗司夫が『[asin:4106102587:title=オタクは既に死んでいる]』などで表明していた。鉄道オタクやミリタリーオタクやアイドルオタクは自分のジャンルに属する以外の人が詳しくなくても寛容だけど、マスコミによって戯画化されたオタク像に感化されたオタクはアニメや声優における「萌え」が分からないとオタクとみなさないという謎の不寛容を持ちやすいという。

 昔ながらの「おたく」はニッチな趣味同士での大同団結だったので、個々の嗜好が違うのは当たり前だった。それが、カタカナ化された「オタク」とか「アキバ系」のような代名詞が付与された途端にバベルの塔が崩れたかのように個々のジャンル間での共通言語が失われていき、だけどインターネット上の会話で満たされるから気にも留められないといった現状が続いている。

メジャーカルチャーとしてのサブカル

 そういう意味では、萌えに限らないオタク要素を指しつつ、リアルワールドオンラインにおける大同団結を目指す言葉として「サブカル好きです」を使うのは正しい戦略なのかもしれない。過去にあったオタクvsサブカル論争とかを考えると胸が熱くなるが、時代は流れていく。

 なんにせよ、若い人はリアルワールドオンラインで「サブカル好きです」を「オタクです」の代わりに使うといった現象は「非モテ」の呼称が「陰キャ」や「発達」に変わった現象に似ていて興味深い。サブカルは泣いてるだろうけれど。