この1年の変化
この1年間の変化を考えるに健康オタクへの傾倒度合いがちょっと病的なまでに高まったことが挙げられる。主に海外の研究者の書いた本を何冊か読み込んだ結果として酒もタバコもやらず、適度な運動と半身浴。7時間以上の睡眠。16時間断食教に入信してから20時〜翌12時はカロリーを取ってないし、普段の食事はこんな感じだ。
- 朝食:白湯 & コーヒーのみ
- 昼食:オートミール、納豆、低温調理した肉や魚、緑黄色野菜のマリネなど
- 夕食:じゃがいも、大豆、鶏胸肉、緑黄色野菜にカレールゥなど
- 間食:冷凍バナナ&プロテイン
- サプリメント:マルチビタミン&ミネラル・ハイチオールC、ザ・ガード
在宅ワークになって継続的な食事制限やトレーニングがやりやすくなっているし、人と会わないから風邪のひとつもかかっていない。気分や体調がよくなって肝臓の数値や腹囲や体脂肪率といったスコアにも現れてくるので達成感もある。体内年齢は着実にアンチエイジングされている。
長寿テクノロジーの発展と実践のしやすさ
現在の生活は自粛生活でついた体脂肪を落としたり、肝臓の数値を改善するのが主目的だったので長生きできるのかはさておき、そのような方法論が確立したら実施していくことだろう。
それも、だいぶ控えめな計算だ。今後50年の間にこうした多種多様なテクノロジーが産声を上げていったとして、それぞれが健康な寿命を延ばすことにどれくらい貢献するかを考えてみたい。
老化を病気と捉えたメカニズム解析と対処方の研究は急速に進んでおり、平均寿命はもちろんとして最大寿命の増加すらも期待されている。自分が生きている間にどこまで進むのかは分からないし、社会情勢が許さないのかもしれないが、科学的に正しい生活習慣が再定義されていくだろうし、適切な医療を受けられる前提であれば延命の可能性は30年前よりも格段に高くなっているだろう。
ハーバード大学医学大学院の遺伝学教授が書いた『LIFESPAN(ライフスパン)―老いなき世界』によれば、様々な研究結果を経た結論として老化を食い止めるには空腹時間を作る。動物性タンパク質を控える。運動や温浴をするといった極めて凡庸な生活習慣とサプリメントの問題となる。個人的には植物性タンパク質だけでマクロバランスを保ち続けるのは現実的ではないし、ヴィーガンの人々の老化こそ早いように感じているから肉や魚を食べるつもりだ。
老後の仕事がありません
そんな話をしていたら「100歳まで生きるつもり?」と言われて、はたと気づいた。100歳まで生きれるとしても老後の資金がどうなってしまうのか。自分自身の能力や体力からして現在の仕事を50歳を超えてもできるかと言えば疑問符がつく。組織の上側に行ける席数は限られているし、かといって現場に居座って同じ生産性での仕事ができるとも思えない。
目の前の仕事に100%のコミットをし続ける前提で稼ぐことができたとしても、何らかの形で「金のエンゼル」を増やすことも意識していかないと人生が詰んでいく。やっていることに市場価値がなくなったり、ちょっとしたアクシデントや体調不良で水準を下回れば終わりだ。
残念ながら自分自身の「金のエンゼル」を作り出すのは難しかったし、個人の努力ではどうにもならない市場構造の変化も起こる。ましてや新型コロナウィルスなんてまったく予期もしていなかったのだ。結局のところで、自分の予想は外れるという予想だけは当てることができる。
そうなると、どこかのタイミングで再就職したりを考えたりもすることにもなるだろうけれど、そこから先のラットレース参加がしんどいことになるのは目に見えている。
老後に働くリスクと投資リスクの天秤
条件よく潜りこめればよいが、おそらくは体力や認知能力が落ちたなかでの低賃金労働となるし、肥大したプライドだってあるだろう。心身を削りながら自転車操業をするぐらいであれば、FIREを画策するのは合理的な判断となる。
FIRE とは「Financial Independence, Retire Early」の略で、要するにいえば経済的自立による早期リタイア。主に投資配当による収入を得ながら定職につかないでも生活できる状況を作り出すこと。「早期」の定義は30〜40歳だとも言われているけれど、自分が見据えていたのは55歳ぐらい。残りの20年ぐらいを何もせずに過ごすという話でもなく自転車操業になってなければ嫌な仕事を避ける権利も得られるという観点だ。
なので収入の大半を株式や投資信託に回していたし、配当や株主優待などの便益も得てきたのだけど、相対的にインカムゲインが安定していた外食株を持っていたことで、一気に損切りしたりのアクシデントがあった。S&P500に気絶投資してたらとか、狼狽売りをしなければという反省もあるが、東京タラレバおじさんにすぎない。
個別株はもうこりごりだよぉってなっている。あとは何も考えずにインデックス投信を定額で買うのだけ継続する感じで終わり。そんなことは10年前からの結論だったのに独自理論を試して痛い目にあうというトラップに見事にはまってしまった
— 池田仮名 (@bulldra) 2021年2月22日
流石に自己流をやめてリスクを下げていく方向にもっていっているけれど、遠い未来の予想は外れるという予想だけがあるし、55歳でFIREしてから100歳まで生きたら残りが45年間もある。100年に1度の厄災にまたあたる可能性もそれなりにあるだろう。
老いなきの世界とアフターコロナの長生きリスク
長生きすることが、逆に人生のリスクになる――なんとも皮肉な話だが、それが現実だ。おカネの知識をきちんと身につけ、ことあるごとに資産内容を見直さないと、「老後破産」は他人事ではなくなる。
そう、長生きはリスクなのである。普通に暮らしていくのにもお金はかかるし、株価は下がるかもしれないし、新しい病気がでてくるかもしれないし、戦争が起こるかもしれない。それでも外れることが分かっている未来を予測して、このぐらいの配当があれば生きていけるだろうとFIREを見切り発車せざるをえない焦燥感。そこには老いなきの世界を渇望しながら長生きリスクに怯える本末転倒がある。
新型コロナウィルスの流行も仕事や投資に手痛い被害をもたらしたが、その一方でリモートワークで健康習慣を維持しやすくなったし、外食・居酒屋・旅行・ライブに行かなくなったり、格安SIMにしたり、映画や音楽がサブスクになったりで消費金額が減った。今のところは大幅に給料が下がったわけでもないし、損切り売却した資産を再投資しはじめている。婚活できない状況すら結果として話を簡単にするだろう。
老いなきの世界とアフターコロナのテクノロジー発展によって全てがもっと楽になる未来も楽観できる。歳をとっても体力や認知が維持できて、郊外の空き家などで娯楽を楽しみながら余生を過ごせたら最高だ。リスクとは「不確定」を意味する言葉であって必ずしも悪くなるものではないし、そうなってしまったものは仕方がない。最高の未来を手に入れる方法は、訪れる未来を好きになることだ。世界の変化を少しだけでも長く見ていたいという欲望がある。