IT業界ポリコレ違反用語
Tech業界の皆さんが今日できる、超絶簡単な(無意識な)差別主義な言葉を変えよう。
— 大石結花 // Yuka Ohishi 🧈⁷ (@yukaohishi) 2020年6月5日
「ブラックリスト」→ ブロックリスト
「ホワイトリスト」→ セーフリスト
言葉には意味がある。
ポリシーチームを率いていた、Pinterestの元同僚より。 https://t.co/0dBZbxctUF
ブラックリストやホワイトリストという言葉が人種差別と結びついてくるため別の言葉にしようという動きがある。マスター/スレイブやKILLもどうなんだという話だ。日本の話はあまり話題になってないけど、「スケジュールをケツから決めろ」や「(順番に)舐めて確認しろ」などなぜかセクハラ方面のポリコレ違反用語言葉が多い。
IT業界ポリコレ違反用語だと一部のメーカー系SIerで使われる「擬似本番」という言葉が個人的には最も淫靡に感じる
— 池田仮名 (@bulldra) 2020年6月6日
なかでもステージング環境を意味する「擬似本番」という言葉は色々すごい。にんげんのいとなみをかんじる。
man コマンドはマンスプレイニングを想起させる!?
そんななか、 「UNIX の man コマンドはマンスプレイニングを想起させるから不適切!? 」という冗談を書いたのだけど、コマンド名の元になった manualという言葉自体に「man」や「説明」を含有するしと語源を調べてみた。
「語源」とは、漢字でいう、偏(へん)・旁(つくり)・などにあたるもので、たいていの英単語は、次の3つの「語源」に分解されます。
実のところで英単語を成立させる構造と漢字を成立させる構造はかなり似ている。漢字のように一文字に詰め込んだり、象形文字を含んだりがないので、英単語の語源分解のが理解しやすいんじゃないかと思う事さえある。
今回で言えば manual という単語は男を部首にする漢字と同じ構造なんじゃないかという想像があったのだ。関係ないけど「嬲」いう漢字はR15にしないと刺激が強すぎるんじゃないかと心配になる。
man ではじまる単語は「手」を意味する
マンスプレイニング(英語: mansplaining)は、男を意味する「man」(マン)と解説を意味する「explain」(エクスプレイン)をかけ合わせたかばん語。男性の持つ「女性は自分より知らない・わかっていない」という前提の根拠が差別意識にすぎないことを指摘するものだが、一般的には「男性が、女性を見下すあるいは偉そうな感じで何かを解説すること」とされる。
そもそもの mansplaining はある単語の中に別の単語を織り込んで、元の単語の意味を内包した新しい単語を生成する「かばん語」と言われる駄洒落的な合成語であるため純粋な英単語ではない。ラジオとカセットの組み合わせをラジカセと言うようなものだ。この段階では男という意味を明確に含んでいる。
これに対して man から始まる英単語の殆んどは「手」を意味するラテン語の Manus が語源であり、マニュアルは手引き、マナーは手の作法、マネジメントは手で管理することを意味する。それならばと手と人間(男)の関係を調べると man という単語そのものはルーン文字の Mannaz (人間)が語源であり、Manus との直接的な関係はないとされている。
語源に遡ったポリコレを考える
よって、もともとは人間を意味する man という単語が20世期になってから成人男性を意味するように狭められていったこと自体にはポリコレ的な大問題があるが、man からはじまる単語であるマニュアルは男が作るだとか、マネージャーは男の役割みたいな話は的外れである。
手を使いこなすのが人間だし、mankind などの古風な単語に残っているように本来は人類全体を意味していた単語が成人男性のみを意味するように変わった歴史があれど、マニュアルとマンスプレイニングの直接的な関係はないので冤罪という話がわかった。分かったけど略しちゃいけないところまで略すのが UNIX の CUI 文化だなと。