投資判断的に優良だった企業の不祥事が続く
ここのところで、自分の投資判断的に「優良」と判断していた企業の不祥事が続いている。北朝鮮リスク等もあって個別株のポジションを解消した後だから直撃はなかったけど、以前までは日産株をそれなりに持っていたし、神戸製鋼に限らずPERやPBRが低めになりやすいB2Bの製造業や鉄鋼業は小型優待株につづいてポートフォリオの上位を占めていた。
莫大な損失がなかったのは運の問題だったとしか言いようがないインシデントだし、じぶんの投資眼が節穴だったと気づくことができた。日本の製造業は技術力が高く、勤勉で、品質が高いという漠然としたイメージがあったのだけど、コストカットの限界突破からさらに限界突破をしようとしていた状況なのだろう。
コツコツドカンリスクの連鎖
積み重ねてきた小さな利益を1回の損切りでドカンと損してしまうこと「コツコツドカン」という。主にFXの取引で発生しがちな状況なのだけど、様々な企業や投資家が「コツコツドカン」のリスクを抱えがちになってきたように思える。
検査体制を甘くしたり、データ改ざんなどを行ってコツコツとコストカットをして利益を積み上げながら、それらが明るみになって企業価値がドカンとさがる。神戸製鋼のアルミ製品は世界中のメーカーから利用されており、国際的な損害賠償による上場廃止すらありえるだろう。エアバッグの破裂問題を起こしたタカタは上場廃止となっている。
投資家からしても、PERやPBRが低くて配当利回りが高めの安定株を買い揃えているとコツコツと配当収入を得ながら1度の暴落でドカンと損するリスクを抱えがちだ。日産の配当利回りも5%に届こうとしていたけれど、検査体制の不祥事で7%以上の値下がりをしている。コストカットによる利益を原資とした配当金を求めてきた責任は株主にもある。
コツコツドカン体質を抱える日本企業
神戸製鋼の件をデフレのせいにするのは辞めたてほしい。どんなにコスト削減が厳しかろうが見つかったら会社が吹き飛ぶようなコスト削減をするのはただの愚か者だし、看過したマネジメントが無能なだけ。そもそもテストレポートの偽造がどれくらいコスト削減に貢献していたかは大いに疑問。
— Yusuke Makino (@Usekm) 2017年10月11日
「コツコツドカン」が起きてしまうのは近視眼的な利益を追求して全体リスクを見逃すところから発生する。製造業の検査体制に限らずとも、不正経理、食中毒、残業代未払いなどもそうだ。任期中にバレなければドカンは起きないのでコツコツをやめることさえできず、増大していくリスクに麻痺していく。
「だからどうすべきか」ってのは難しいのだけど、そういうリスクが周りに潜んでいることは認識しなきゃいけないし、すくなくとも僕自身としては目先にある数字だけを信じすぎないってのを意識しよう。あと、自分の投資眼みたいなものはポンコツだと分かったので、個別株に賭けるのはやめておこうと思えた。