太陽がまぶしかったから

C'etait a cause du soleil.

イケアの空、ミサイルの夏〜ダブル印旛沼で核実験を待っていた

イリヤの空、UFOの夏(1) (電撃コミックス)

終末感の日常化

 北朝鮮のミサイルが発射されたと寝起きのTwitterで知る。Jアラートは鳴っていない。日経先物と為替を確認して本日の下落に憂鬱となる。なにも権利落ち日を狙わなくても。ミサイルのインサイダー情報で儲ける北朝鮮工作員がいるという話の信憑性。

 日本が危ないのに、なんで円を買うのかと思うけれど、為替売買アルゴリズムが有事の円買いに調整されているのだから仕方がない。そもそも実際的な被害が大きくなるほど保険会社等が海外資産を日本円に買い戻す必要がでてくる。

 20日前から手仕舞いを進めていたのはそういった思惑があるのだけど、ミサイルが飛んでるのにJアラートが鳴らず、真っ先に死ぬかもしれない状況だというのに相場への影響とけものフレンズの最終回を気にしている自分の思考に薄ら寒くなりながらも、いつもどおりに出社する。

 帰宅の頃にはミサイルのことなんてすっかりと忘れて、29の日だからと焼肉を食べたくなる。ミサイルよりも29の日の方がよほど自分の行動に影響している。

イケアの空、ミサイルの夏

 そろそろ今の部屋が手狭になってきたので引っ越しを考えている。部屋自体は狭くてもよいのだけど、バストイレ別でドラム式洗濯乾燥機が置ける部屋に暮らしてQOLを上げたい。半フリーランスの実家出戻りを経て、ふたたび都心に出てきたので大学生みたいな部屋に暮らしているのだけど、もう良い歳なのだし、衛生と健康の維持が一番の節約に繋がるであろう。

 不動産屋を巡り、イケアで家具を見繕う。当たり前のように明日が来るとしか思えないから株を買って家具を買って不動産を借りることができるのか、終末思想だから少しぐらいの贅沢をしたくなるのか。見上げた空にミサイルを探す。

北朝鮮のリスクがどうして緩和したと言えるのだろう

 ミサイルが飛んで日経平均が下がった8月29日。その翌日には市場経済が回復し、北朝鮮リスクの緩和と報じられる。

 なにも解決していないのに喧伝される楽観論にあたまがおかしくなりそうだったので、日経ダブルインバースを購入。日経ダブルインバースとは日経平均株価の値動きと逆方向に連動する「ベア型」のETFである。

 追証や逆日歩などのリスクを追わずに実質的な空売りができるため、手軽な日本売りツールとなる。ここ数ヶ月のアゲ基調においてはダブル印旛沼と呼ばれるナンピン地獄を誘発していたのだけど、どう考えても近いうちにミサイルか核実験が起こるであろうリスクに賭けた。

ダブル印旛沼で核実験を待っていた

 はたして9月3日に核実験が行われてダブルインバースは反転上昇。すぐさま売って相対的に安くなった株をドテン購入すれば、高確率で株価がもどっていくから二重で小銭が稼げる。北朝鮮の工作員がインサイダー情報を使ってやっていることの追従だ。多分。

NEXT FUNDS 日経平均ダブルインバース・インデックス連動型上場投信<1357>が反発。2000円大台回復を視野にとらえている

 そこにセンチメンタルになる必要はないのだけど、なんだか虚しくなった。日本が危機に晒されるほど儲けられる構図ってなんなんだろう。核実験はギャンブルの勝敗を決めるゲームじゃない。いまの局面だと北朝鮮リスクに半歩早く同調して空売りすればよいって学習してはいるんだけど、精神衛生上それはアカンという思いもある

自国の「負けに賭ける」こと

 『マネーショート』という映画では、サブプライムローンやリーマンショックを引き金とする世界経済の破綻を予見して巨大な空売りを仕掛けた人々を描いている。彼らはアメリカ経済の「負けに賭ける」ことで勝利したが、それは自国内の無数の犠牲者を確定させる行為でもあった。そんなに壮大なことではないのだけど、心情としては似ている。

 ダブル印旛沼の中でミサイルや核実験を少しでも期待していなかったら嘘になる。自国の「負けに賭ける」ことで勝利することの虚しさ。現段階では安全に痛い状況であるが、そろそろ本当にまずい段階に進みつつある。沼の中から自国の失敗をほくそ笑む精神汚染はしんどい。投資家としては甘いんだろうけど、もう「負けに賭ける」のは辞めよう。