イナダの刺し身に塩ごま油を付けるとレバ刺し
生肉食系男子として、レバ刺しが大好物だったのだが、牛レバ刺しも豚レバ刺しも規制されてしまった。健康被害のリスクがあるのは理解出来るのだけど、そのリスクや背徳感も調味料となっていたという側面がある。レバ刺しコンニャクでは物足りない。
そんななか、最近はまっているのがイナダの刺し身に塩ごま油を付けるという食べ方。プリプリの食感と血の味に塩ごま油が合わさると、レバ刺しにかなり近い味となる。コンニャクは植物由来の成分であるが、イナダは動物性蛋白質であるわけで「プリンに醤油で雲丹」「きゅうりに蜂蜜でメロン」といった調味料を乱用するリトルグルメは性質が異なる。
フォアグラとアンキモ
そんな事で思い出したのが、『美味しんぼ: 豆腐と水 (1) (ビッグコミックス)』の第二話。フォアグラとアンキモの対決である。日本の食通とたてまつられてる人間は、こっけいだねえ!というアレだ。
フォアグラはガチョウの肝臓で、アンキモはアンコウの肝臓なのだけど食感は似ている。アンキモは磯臭いので、まったく同じものだとは言えないのだけど、新鮮なアンキモはフォアグラに勝るとも劣らない味わいであろう。「勝るとも劣らない」って言われる時は大抵、絶対値としては劣っているんだけど、別ベクトルの良さもある。
制度としての食物
『ファミマのフォアグラ弁当の発売中止騒動 ネットでは行き過ぎた抗議に反発多数 | ハフポスト』なんかも話題になっていたかれど、将来的にフォアグラが食べられなくなって、代わりにアンキモ弁当が出るのかもしれない。
また中東に赴任する夫婦に、(中東では手に入れにくい)フグの白子の代わりに、仔牛の脳みそ料理を出すなんて話も『美味しんぼ: 香港食勝負 (11) (ビッグコミックス)』にあって、食べ物というのは、その文脈によって位置づけが入れ替わる事がある。現在はBSEがあるので家畜の脳みそ料理なんてのは考えられないけど。
閑話休題、イナダの刺し身に塩ごま油を付けるとレバ刺しっぽくなるので、生肉好きの人にはぜひ試して頂きたい。魚の刺身が規制されるのは随分と先になりそうだし、カルパッチョ的なベクトルでも楽しめるから。