認知コストと費用を下げる気絶投資法のススメ
初めてでも安心!
絶大な支持を集めるロングセラーが、さらにわかりやすくなりました。
ローコストで、わかりやすくて、手間いらずで、負けないインデックス運用。
細かい疑問にも対応し、税制を最大限に活用する方法も加わって、よりお得にバージョンアップしました。
着実にお金がたまり、時間の余裕もできる、最強の投資法を紹介します。
確定拠出年金、NISAをうまく使いこなせばさらにお得!
景気が良くても悪くても、のんびり待ちながら資産を増やせるので老後も安心です。
本書は楽天証券経済研究所客員研究員の山崎元と、『梅屋敷商店街のランダム・ウォーカー(インデックス投資実践記)』の水瀬ケンイチの共著。色々な場面で発生し得る「損」を最小限にしながら、資産を増やしていくための方法論が書かれている。
忙しい日々のなかだと純粋に投資のために使える時間は殆んどない。毎日1時間をかけて銘柄を選定したり、デイトレのように張り付いているのは不可能だし、タスクが手につかなくなってしまう。結局のところで「気絶投資法」を実践していたら、日経平均が勝手に上昇したりしていて、素人が「最適」を狙わない方がトータルでマシになるという教訓が残った。
そういう意味では、すでに「ほったらかし投資術」に近しいことはしていたのだけど、本書は投資心理、法律、信託商品設計の観点から、どのようなポートフォリオを組んでいけば認知コスト、手数料、信託報酬、税金などを最小限にできるのかということを論じている。
パッシブ運用で平均的に殖えればOKというスタンス
やるべきことは比較的単純で、以下のような指針でひたすらバイ&ホールドをしていくというものである。
- できるかぎり信託報酬が安いインデックス商品を選択
- 生活資金・日本株インデックス・世界株インデックスを比率通りに運用
- 税金が優遇されるNISAや確定拠出年金(DC制度)を全力活用
- 月1程度の確認や、年1程度のリバランス以外はほったらかし
個別株を購入していくのは認知コストや手数料の観点から難しいし、素人では簡単に勝てないので投資信託やETFに頼る。投資信託商品にはアクティブ運用とパッシブ運用があってアクティブ運用ではァンドマネージャーが情報を吟味してポートフォリオを変更していく必要があるのに対して、パッシブ投資では日経平均やTOPIXなどのインデックス指標に連動する。
一般論として、アクティブ運用は信託報酬が高いけど大きく値上がりする可能性があり、パッシブ投資は指標通りにしか動かないけどコストが安いというイメージがある。しかしながら、実際問題としてインデックス指標に使われているのは「平均値」であり、アクティブ運用の6〜7割は指標にも及ばないという事実が歴史から証明されている。
その上でアクティブ投信は商品が値上がりしようがしまいが信託商品に対する高い報酬が上乗せ請求されるのでインデックス投資に比べて相対的な損をする可能性が高いという理屈になる。税金や手数料も同じだ。
資本主義経済が発展していくことへの素朴な信頼と宿命論
そこにあるのは、苦労しようがしまいが市場を出し抜くのは難しいという宿命論であり、それでいながら今後も資本主義経済は発展していくという宿命論である。
資本主義経済のゆっくりとした成長を長期で取り込んでいこうというのがインデックス投資です。人々の欲望をエンジンにした資本主義経済のサイクルが止まることは、今後もないのだろうなと脳天気に信じています。
インデックス投信を買っていても、同じ水準で騰落しているだけじゃないかと思ってしまいがちなのだけど、そんな意識があるのは「失われた20年」を過ごしてきた日本特有のものらしい。アメリカのダウジョーンズの指標であったり、先進国株式のMSIコクサイ指数などをみれば一時的な騰落はあれども右肩上りである。
いつかは終わりが来るのかもしれないけれど、そのいつかは自分が生きているうちなのか?という最大の賭けがある。であれば「何をしてても勝手に発展していくのが資本主義」というテーゼをアイロニカルに信じながらも実行する生産活動が日経平均をほんの僅かに押し上げることもあるのかもしれない。投資にかかるコストを最小限にしながら、資本主義経済そのものに投資を信託していくことにちょっとしたフィクサー感を抱きながら。