太陽がまぶしかったから

C'etait a cause du soleil.

俺はまだ本当の家系ラーメンを知らないのかもしれない

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家系ラーメンの本当の姿

 好きな食べ物の筆頭に家系ラーメンがあるのだけど、もしかしたら本当の家系ラーメンの味を知らないのかもしれないと思えてきた。本家の吉村家で食べた事がないのもあるけど、実際のきっかけはコンビニのチルド家系ラーメンを食べたこと。うん、優しい味。

 家系ラーメンを食べようとなると、硬め濃いめ多めの早死に三段活用を注文して、大量のにんにくと胡麻をかけるのまでが脳死ルーチン。これに対してシンプルに構成されたチルド家系ラーメンは自分の知らない顔を見せてくる。どちらが本物をより再現しているのかは分からないけれど互いに違う味ということは分かる。

源流を辿らないままピーキーになっていく時代

 まずは全てを「普通」にセッティングして注文すべきだが、行きつけの店と吉村家のスープは色からして違う。そもそも屋号に家とついているだけで横浜家系豚骨醤油と明記されているわけでもない。もしかしたら自分は家系ラーメンが好きなのではなく、ピーキーにカスタマイズされた別のラーメンが好きなのかもしれないとすら思えてきた。

 考えてみると自分の人生にはそういうものが多い。子供のころに読んだ小説や聴いた音楽は大抵何かの亜流だろうし、大勝軒の元祖つけ麺の前に魚粉豚骨系という味覚の暴力を知ってしまった。過剰化されたリメイクを先に味わってからオリジナル版に取り掛かると、当時の人々が味わえたであろう純粋な感動は薄ボケてしまう。

 振り返るほどに自分の人生はそういう話で埋め尽くされている。結局のところで本家吉村家に並んで全て「普通」の注文をして食べるまで収まりがつかないのだろう。あれだけ頻繁に食べていて、好きだと公言している食べ物の本当の味を知らないまま過ごしているのは我ながらちょっとしたホラーだ。

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  • 作者:鳴見なる
  • 発売日: 2019/09/30
  • メディア: コミック