Grok BOT の懐かしさ
ここ最近でのX(旧Twitter)で注目を集めているのが、xAIが開発した生成AI Grok のボットアカウントである @grok だ。これまでのGrok専用タブでの操作とは違って、リプライを飛ばすだけで処理を行なって返信してくれる懐かしいインターフェイスと、わざわざシェアをしなくても公開行動として参照してもらえる味わいがある。
xAIがXを買収し、完全子会社化したというニュースが報じられており、Grokをプラットフォーム全体に組み込んでいくという宣言のようにも感じられる。@grok ではリンク先の要約指示なども行えるため、自分のブログ投稿と同時にGrokに要約文をつけてもらえないかを試した。こういうハック自体も懐かしい感じ。
Grok BOTに記事の要約をリプライしてもらう方法と名前のない仕事
とは言っても、難しいことは何もなく、ブログ記事をXでシェアした際に @grok を明示的にツイートに含め、「リンク先を要約」のような文言を加えることで、Grokが反応して要約を生成する仕組みとなっている。
はてなブログに投稿しました 「そこはバイブスで」のパワハラを許容する VIBE Codingで思い出すEclipseビルド待ちコーヒー - 太陽がまぶしかったから https://du-soleil.com/entry/vibe-coding #はてなブログ @grok によるリンク先の要約はリプライ参照
例えばこんな感じにすれば良いのだけど、最後に@grokだけつけても反応しないし「@grok 記事を要約して」だとシェア文言として意味がわからなくなる。大袈裟にいえば、この言い回しには Grok BOTを呼び出して意図通りに動かすプロンプトと人間からしても単独で意味が伝わる二重表現を見つける「名前のない仕事」が含まれている。
※クロールしているわけではなくタイトルやURLから生成されている可能性が高いようです
自分自身で要約をつけてしまう意味を考える
ここまででGrok BOTに要約をリプライしてもらう方法を説明したが、僕自身はChatGPTの画像生成機能を使って、学習漫画風のキャラクター解説を生成し、ツイートに添える試みも行っている。テキスト生成の正規化をサボっているためまだまだ低品質ではあるが、漫画自体はなかなかのものだと感心している。
以前の書評で『映画を早送りで観る人たち』(流)を取り上げたが、実は「早送り」なんてのはまだ誠実で、読んでいない本について堂々と語ることが横行している。僕自身もクリシェの原典を読まず多用していたことがあるし、流し読みでチェリーピッキングをしているのもしょっちゅうだ。
AIが要約し、AIがイメージを作り、AIが拡散を最適化する時代において、我々は「読む」とは何かを改めて問われている。Grokの要約は、情報量を減らすことで読者の負担を軽減するが、同時に思考の射程を狭めてしまうリスクもある。情報とは、単なるデータの束ではない。書き手の立場、文脈、逆説、含意といったものが重層的に絡み合って生まれる意味のネットワークである。要約はそれを切り縮める作業に他ならない。
Grokの要約精度も決して高くはない。抽象的な批評文や技術論はGrokにとって依然難解なようで、要点を捉え切れていないケースや逆の主張になっていることもある。それでも「読まれる入口」として機能しうる点で意味を持つかもしれないし、逆に読まなくて良いと判断されるかもしれない。
PV数が必要であれば要約をつけるなんて選択肢はありえないが、不要だと思う人にまで無駄な時間を過ごせたいわけでもない。映画は早送りされ、文章は要約される世界において、どうせ要約されるならば自分の手で、なんて痩せ我慢をしているだけなのかもしれないけれど。