ダークパターン議論の盛り上がり
ダークパターンは、主にウェブサイトなどでユーザーを騙すために慎重に作られたユーザインタフェースであり、「"購入ボタン"よりも"定期購入ボタン"の方が目立つ配色や大きさになっている」や「登録は簡単なのに退会が非常に面倒である」など様々な例がある。特に悪質なものが多いとされる例の1つは、利益が関わるショッピングサイトなどで、有名なウェブサイトほどダークパターンを利用しやすい傾向がある。ダークパターンには、人々プライバシーを侵害したり、人々の判断力を鈍らせるなど、様々な問題があると指摘されている。
ダークパターンという新語は、darkpatterns.org(ユーザーを騙すインターフェイスの名前とシェーピングの具体的な目標を持つパターンライブラリ)の登録で2010年8月にハリー・ブリヌル(英語: Harry Brignull)によって作成された。
ダークパターンという言葉が改めて日経新聞などで取り上げられることが増えた。「ダークパターン」には文字通り様々なパターンがあるが、ネット通販サイトで定期購入などの無駄な追加注文やメールマガジン登録を促したり、解約させづらくする仕掛けについて議論になることが多い。
LTVを積み上げるためのハックとして、それ専門のデザイナーもいるとも聞く。チャーンレート(解約率)を下げるごとにインセンティブが貰えたりもすると、できる手はなんでも使おうとするのが自然だ。
ダークパータンとフールペナルティビジネスとの共犯関係
繰り返しますが、ひとつひとつは冷静になれば大した話ではありません。それでも管理すべき契約数が多くなるごとに指数関数的に暴力性を帯びてくるのです。短時間のうちに使える意志力の合計量は個々に決まっており、それを超える意志力を発揮するのは難しいわけで、10個までなら冷静に対処できても100個になれば1個ぐらいバカになる瞬間がでてきてしまうのも仕方がありません。
そういう状況に追い込んでおきながら、「自分がうっかりしていたのだから」と自罰に誘導して小銭を巻き上げるのはあまり良い事とは思えません。
これは過去に自分が「フールペナルティ型ビジネス」として指摘した話との共犯関係もあって、ちょっとした「障害」を並行的に用意することで、面倒だからサブスクリプションを続けるという「バカになる瞬間」を統計的に作り出せる。
「フールペナルティ」という言葉は「フールプルーフ(バカよけ=誤注文などを防ぐUI)」を由来にしているのだけど、失敗を起こさせる余地や導線を意図的に用意しておいて、「馬鹿よ貴方は」と罪悪感と劣等感を植え付けて支払わせるところに最大の問題がある。
ダークパターン最大の罪は消費者の自尊心を小銭と共に削ること
同サイトでは一部商品で定期購入が初期設定されており、「誘導」のダークパターンといえる。返品もできたが自分の見落としも後ろめたく、「もやもやしつつ、あきらめた」と話す。
よほどの高額商品でもない限り、解約失敗や無駄遣いそのものの金銭的な被害は致命的な話ではないのだけど、「悪いのは自分」「馬鹿だったのは自分」という自尊心が削られる副次ダメージのが大きい。泣いてんのか。
これは幼少期に不良から1000円カツアゲされたとして、1000円そのもので人生に致命的なダメージを受けることはないが、恐喝に屈したという事実は一生レベルのトラウマになる事に似ている。
もちろん、解約率を下げないことは大切な企業活動であろうが、それは提供価値やサポートの拡充によって成し遂げられるべきであって、解約導線を悪くする所にはないだろう。何よりも消費者の自尊心を削る加害行為として炎上CMと大差ないことをしていると価値観のアップデートをしてほしいと思ったりもする。