太陽がまぶしかったから

C'etait a cause du soleil.

なーんもないビジネス旅館で湯呑みストロング・ゼロ

ビジネスホテルよりもビジネス旅館

 旅行や出張になるとビジネスホテルよりもビジネス旅館を探している自分がいる。ビジネス旅館とは大浴場の温泉や豪華な夕食などが望めない単身出張者向けの安旅館。四畳半の畳部屋に押入れとお盆の乗ったローテーブル。

 今となっては数が減ったが外国人旅行者がオリエンタルな雰囲気を味わうために利用したり、地方コンサート特需が定期的に発生しそうな場所だったりと生き残るだけの需要はそれなりにありそうだ。ドヤが外国人バックパッカーに受けているのに通じる。

なーんもないのがよい

 風呂は狭くて共同だし、食堂があっても簡単な定食がでるぐらいだけど、だからこそ本を読んだり、酒を飲んだりに集中して楽しめる。外からかすかな雨音が聞こえているとなお良い。

 湯飲みでストロング・ゼロを飲むと頽廃の味がする。Kindle を持ち歩けばそこは無限の漫画居酒屋となるし、早い時間から布団に寝転んだって誰も咎めない。稲川淳二の旅館怪談のように「なーんもない」と独りごちりながらも、なんだってある矛盾。

畳と布団で寝ることに飢えている

「ととのい」ができたので、水分を補給してから休憩所でぼんやり。畳部屋にマットを敷いてごろ寝したり、足つぼマッサージ機をしながら漫画。

 もしかしたら自分は畳と布団で寝ることに飢えているのかもしれないと思うことがある。現在は実家でさえベッドになっているが、子供の頃には畳に布団を敷いて寝るのが当たり前であった。

 定期的に畳で寝たくなるなか、全ての宿泊施設がビジネスホテルやカプセルホテルになってしまうのも残念。老齢夫婦の家族経営が多いし、もう待ったなしの文化なのかもしれないからこそ、なんもないビジネス旅館があったら優先的に宿泊したい。