ブンガク系ロック
いわゆるロキノン系の系譜にいるので、アジカン、サンボマスター、相対性理論あたりの「文化系ロッカー」が好きなのだけど、、もっと露骨なギミックとして「文学」というか「ブンガク」を取り入れているロックバンドの系譜もあって、そちらはそちらでどうにも惹かれてしまうところがある。
江戸川乱歩や横溝正史は小学生の頃から刷り込まれているし、山田風太郎や京極夏彦もそうだ。それがファッションとして消費されてムカつくという側面と、自分の好きな事を体現してくれているという側面が相反している。その辺は『文豪ストレイドッグス -1 (カドカワコミックス・エース)』への感情に近い。
人間椅子
「人間椅子」というバンド名自体が江戸川乱歩にちなむ。和嶋さん自体が次第に袴や丸眼鏡を付けるようになって、本物の文豪っぽくなっていくのもよい。曲自体もおどろどろしさとハードな演奏が相まって非常に聴き応えがある。最近になって筋肉少女帯とのコラボが発表されたので楽しみにしている。
犬神サーカス団
『金田一耕助ファイル5 犬神家の一族<金田一耕助ファイル> (角川文庫)』に影響を受けているのは言うまでもない。パワフルな女性ボーカルで妄執や情念を歌い上げる。死んだロックスターを蘇らせる新興宗教団体という設定で進んでいくライブがエンターテイメントしていて良かった。
メジャーデビュー後に歌番組でメイクを落とすなどのギミック破壊系のイジリをされるようになってて、なんか残念な気分になりつつ、またインディーズに戻ってきている。
陰陽座
陰陽師を模した衣装や、男女混成のツインボーカル、メンバー全員が猫にちなんだ名前が中二心をくすぐる。「眩暈坂」は、もちろん京極堂シリーズに出てくる「眩暈坂」である。歌詞のところどころに『文庫版 姑獲鳥の夏 (講談社文庫)』のイメージが使われているし、導入部が「この世に不思議なもの」だったりもする。
忍法帳シリーズもあり、こちらは山田風太郎。『甲賀忍法帖』がアニメ版の『バジリスク ?甲賀忍法帖? [Blu-ray]』とタイアップして公式音楽になるという大逆転もあった。
筋肉少女帯
ブンガク系ロックの根幹にいて、僕自身は音楽としての良さよりも一種の「ポエトリー・リーディング」として聴いているのだと思う。江戸川乱歩や中原中也の影響を受けながらも、非モテやメンヘラや現代っぽい題材を加えながらひとつの文学作品になっている。
「ボンクラ」「のほほん」「トンデモ」もそうだし、「ブンガク」「ロック」自体もオーケンの影響下にあることが否定できない。池田仮名というハンドルネームも『香菜、頭をよくしてあげよう』が由来のひとつだ。
まとめのまとめ
以上、よく聴いている「ブンガク系ロック」について紹介した。生粋なロックファンや文学ファンからすれば冒涜的な存在であるし、ファッション的に消費する事について自分の中でも抵抗があるのだけど、やっぱり気になってしまう。
「ドラゲナイ」と馬鹿にされがちな SEKAI NO OWARI も「ブンガク系ロック」の一種としては受容できていて、ネトゲを題材にした『眠り姫』はむしろ好きな部類である。扱う題材からしても「ライトノベル系ロック」であり、ポエトリー・リーディング」の一種という見立てからすれば同じ系譜にいるのではないかとも思える。こういうジャンルはこういうジャンルで純粋なロックとはまた違う面白さがあるのだと主張したい。

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