太陽がまぶしかったから

C'etait a cause du soleil.

恵比寿「マトリョーシカ」キエフ風チキンカツ〜ロシア料理は馴染みのある料理をマトリョーシカみたいに包み込む

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ロシア料理を食べたい

 ここのところグルメレポがデフレ飯というか、貧乏臭いのには色々な理由があるのだけど、いつもいつもそういう食事をしているのではなくて、時々は変わった料理も食べている。インドカレー、イタリアン、ドイツ料理。

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 ロシア料理も結構好きだ。マトリョーシカは、アトレ恵比寿内にあるロシア料理レストランで、ディナー利用でも比較的安価で美味しいロシア料理が食べられる。 

ピロシキボルシチハトムギサラダ

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 ピロシキは挽き肉具材のドーナツで、ボルシチはトマトベースの野菜スープ。それに揚げたハトムギをトッピングしたサラダという定番のロシアセット。他のロシア料理店でもこのセットが食べられることが多いのだけど、これだけでも結構満足できる。

 特にボルシチは煮込まれたすね肉と野菜がゴロゴロと入っているし、トマトの濃厚さが尋常ではない。馴染みある野菜スープが濃厚なトマトが包むことで、別の料理になっている。そう考えるとピロシキって肉まんを揚げたものって感じだし、ハトムギも揚げてあるわけで、馴染みある具材に一層を追加するのが特徴なのかもしれない。

キエフ風チキンカツは鶏野菜つくね揚げのデミグラスソース

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 そんな事を考えていたらメインディッシュのキエフ風チキンカツがサーブされる。何がキエフ風なのか分からなかったのだけど、ナイフを入れたら分かるという。

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 ゴロゴロ野菜とバターやチーズの香り。鶏肉もつくねのようで、すっと切れる。肉と野菜とバターが交じり合ってめちゃくちゃ美味い。鶏野菜つくね揚げのデミグラスソースがけとでも言うべきレイヤー(層)の多さ。それもまたマトリョーシカである。

ロシア紅茶で思いを馳せる

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 食後のロシアンティ。こちらはジャムと蜂蜜が入ってかなり甘い。これは日本独自の飲み方らしく、本来のロシアンティは付け合せのジャムや蜂蜜を口に含んでから飲むもので、白砂糖が貴重だった時代にできた習慣だそう。紅茶の上澄みにジャムや蜂蜜の層ができていて、これもまたマトリョーシカ。僕自身は紅茶もコーヒーも基本ブラックで、せいぜいミルクを少し入れる程度なのだけど、違う飲み物として楽しめる。

 ロシア料理には、馴染みのある料理に層を加えて入れ子構造を作るという特徴があるように思える。でも、それは日本料理にも見られる特徴であって、そもそもマトリョーシカの由来はロシア人修道士が土産に持ち帰った箱根細工の入れ子人形(こけし・だるま・七福神)だという説がある。北方領土問題を出すまでもなくロシアと日本は隣の国であって、すごく遠いようで意外に近い食文化に思いを馳せる。