太陽がまぶしかったから

C'etait a cause du soleil.

詐欺師症候群と借り物の地盤・看板・鞄

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借り物の3バン

 「この商談が取れたのは会社の名刺があったからだよな」と改めて思うことがあった。まったく当たり前の話なのだけど、僕個人の名前でアポ取りの連絡をしたって無視されただろうし、そもそも連絡しようとすら思わない。

 政治家には「ジバン(地盤)、カンバン(看板)、カバン(鞄)」の3バンが必要とされる。地盤は後援会、看板は知名度、鞄は資金を表す。そう考えるとそれなりの大きさの会社のサラリーマンには地盤・看板・鞄がある。すべて借り物ではあるけれど。

自分の力で仕事をしているわけではない

 「アレオレ詐欺」とは、「オレオレ詐欺」のもじりで、個人の実績を語るときに有名なプロダクトやサービスなどの名前をだして「アレってオレも関わったんだよね」と吹聴することである。ここで厄介なのは、有名な製品になるほど「程度はさておき本当に関わっている人」は結構いるので完全な詐欺とは言いにくいことである。

 この辺の感覚は「アレオレ詐欺」に近いところがあって、各部署のサポートや会社の名前や予算ありきで物事を進めていくなかの一員として、ちょっと関わっているだけなのに自分の力だと勘違いすると痛い目に遭うという警戒心のようなものがある。

詐欺師症候群と借り物の地盤・看板・鞄

 最近になって、「詐欺師症候群」という言葉を知った。その字面から見ると虚言癖を想像するが、「詐欺師症候群(インポスター・シンドローム)」とは、なにかが達成できても「自分のおかげ」とは思えずに「自分は詐欺師だからいつかメッキが剥がれる」という脅迫観念のようなものを表すらしい。

 そう考えると借り物の地盤・看板・鞄という明確な理由を挙げやすい状態にあるからこそ詐欺師症候群の病状が余計に進んでいくのかもしれない。Webライターのような副業は自分の名前でやってるけれど、それをフルタイムでやっても暮らしていけないし、フリーランスのエンジニアになれるほどの技術力もない。

肯定ペンギンと暮らしたい

 結局のところで結婚できていないのも「いつかメッキが剥がれて嫌われるだろう」という強迫観念が影響しているのではないか。臆病な自尊心と尊大な羞恥心。だから「もっと自信を持てば良い」とか「自分の名前でチャレンジすべき」という自己啓発的な結論にもっていくのは簡単だけど、そもそも本当に詐欺師なのかもしれない。

 ただ「これは俺様のおかげ!」ってもうちょっと勝手に思い込んだ方がお酒が美味しく飲めるのかもとと思ったりもした。あと肯定ペンギンと暮らしたい。身も蓋もないことをいえば、もっと褒められたいのだ。