太陽がまぶしかったから

C'etait a cause du soleil.

同窓会から逃げない非モテはかっこよくない小金があるおじさんに収束する

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非モテ同窓会に参加してきた

 少し前に非モテ同窓会のようなものがあった。「非モテ」をテーマにした同人誌『クリルタイ』のメンバーが集まる会だ。非モテ論壇が華やかだった当時の自分は一介の読者に過ぎなかったのだけど、関わっていくうちにサークル末期の編集・執筆・売り子などを手伝うことになっていた。

 同窓会に参加しての印象は、「同窓会から逃げない非モテはかっこよくない小金があるおじさん」に収束するということ。中華料理屋で海鮮の大皿料理を頼み、喫茶店で割高な酒を頼むのに、1.5kmを歩いてタクシーという意見がでないバランス感覚。ヒールを履いてる女子がいたら怒られるけれど、それを咎める人はいない。

 それでもみんな、それなりの格好をして、それなりの仕事をして、ちゃんと生きている。結婚をしている人も珍しくないのだけど、それはそれで生存バイアスなのかもしれない。同窓会から逃げるやつは非モテだが、逃げないやつは訓練された非モテである。フルメタル・ジャケットされた擬態はいつのまにか本心にすりかわる。

それなりに適応するゲームの攻略本

 事実上の最終号となった同人誌のテーマは「婚活攻略本」であった。ちょうどオタク婚活なども流行りはじめた頃であり、当事者意識としても婚活しかないのかもしれないと思えた時期ではあったのだけど、「非モテだから諦める」なんて自意識の檻を意識しなくなった事をあらわしている。

 幻の次号には「社畜2.0」などが企画されており、仮に続いていたら「嫁の取説」「人望マーケティング」「子育てシヴィライゼーション」「オタクの終活」などがラインナップとなっただろう。結局のところでコミュニケーション能力にやや難のある人生における「でもやるんだよ」に関心が移ってきており、自意識に悩むことにも飽きていた。

それか、モテないことと「発達」が関連付けて語られることもある。「発達」とは、もちろん発達障害のネットスラングである。「陰キャラ」か。「発達」か。あるいはその両方か。しかし発達障害という文脈にモテ非モテが回収されるというのも、あまりに切なく、乱暴という印象は否めない。

 奇しくも、『発達障害就労日誌』が流行りだけれども、「自分の特性を理解して適応するための攻略本が欲しい」という文脈においては「非モテ」「陰キャラ」「発達」などが同一視される必然があるのだろう。

 初期設定に応じて「キモくて金のないおっさん」へのルートを避けるためのスキルを身に着けて、それなりにうまくやるゲームを攻略するという目的においてはポケモンの赤と緑と青ぐらいの違いしかない。乱暴ではあるが。

似たようなクラスタの人々が集まるのが今時の同窓会

 なんにせよ、普通のおじさん達として集まれるのは幸いである。その一方でうまくいかなかった人々や、うまくいきすぎた人々と疎遠になっていくというか、共感性の欠如のようなものがナチュラルに芽生えてきていることにも気づいてる。

 共感性があるから良いという話ではないが、もう誰も傷付けないという繊細性は擦り切れている。それは段階論であって、自分自身が切られてしまう側になることのが多い。結果として似たようなクラスタに属する人々が集まって旧交を暖めるのが今時の同窓会なのかもしれない。

 つまり、かっこよくない小金があるおじさん達に収束する同窓会だったのは、僕自身がそうだから。過去があるから現在があるが、現在があるから過去を共有できるのだ。未来がどうなるかは分からないけれど、その経過を見届けたい。

奇刊クリルタイ7.0

奇刊クリルタイ7.0

  • 作者: クリルタイ,白河桃子,熊代亨,ステファン・ラピー,松永英明,望月倫彦,republic1963,古田ラジオ,奇刊クリルタイ編集委員会,吉川にちの
  • 出版社/メーカー: クリルタイ
  • 発売日: 2012/11/22
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
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