太陽がまぶしかったから

C'etait a cause du soleil.

読書

二村ヒトシ『すべてはモテるためである』〜この恋愛に【あたし】と【あなた】はどこにいる?

いまになって「モテ」本を読むことについて Skype読書会にあわせて『すべてはモテるためである (文庫ぎんが堂)』を読みました。33歳独身。それなりの過程はあれど「いま/ここ」には何も残っていません。そろそろ夫婦関係の秘訣や子育て日記を書いていても良…

小山ゆうじろう『とんかつDJアゲ太郎』〜アガる音楽でMIX<交じり>あうトンカツとクラブカルチャー

とんかつDJアゲ太郎 ライブハウスにはそれなりに行くのだけど、クラブには行った事がなくて中で何が行われているのか未だによく分かっていない。だから「DJはとんかつに似てる」と言われても「はぁ……?」と思うだけであった。認識解像度を下げれば天下一品だ…

村上春樹がKindleで電子書籍を読んでいることに椅子から転げ落ちる

ふたたび村上さんのところ 生きている人間は少しづつ変わっていきますが、過去に公開された文章は永続的に残っていきます。もう本人の手からは離れて古くなった教義に固執していた自分を知ることが本当に良かったのかの判断はつきかねますが、村上春樹がラン…

「ランニング中のiPod」に衝撃を受けたハルキストは「村上主義者」への転向を迫られているのです

村上さんのところ 新潮社による期間限定サイトが公開されて、村上春樹に質問ができるようになっている。過去にも同様の取り組みはあったのだけど、もう質問できるような機会は用意されないものと考えていたので嬉しい。僕から送ったいくつかの質問への返信は…

第5回Skype読書会「女子目線で語る『すべてはモテるためである』(二村ヒトシ)」開催のお知らせ

第5回Skype読書会 第5回Skype読書会は『すべてはモテるためである (文庫ぎんが堂)』 を題材に下記の要項で開催することとしましたので、よろしければご参加頂ければと思います。Skype読書会とは事前に課題図書を読み込んでおき、Skypeによる音声チャットをし…

石黒正数『外天楼』〜エロ本、宇宙刑事、ロボット、クローンの全てが1巻完結で回収されていくミステリー漫画

外天楼で会いましょう 『外天楼』は『ネムルバカ (リュウコミックス)』や『それでも町は廻っている 1 (ヤングキングコミックス)』の作者による日常系ミステリー短編集……に見せかけた壮大なサーガである。書評を書くには、どうしてもある程度のネタバレを含ん…

西加奈子『通天閣』〜工場とスナックが交わる通天閣でこれまで言えなかった全員分の「好きや!」を叫ぶ

『通天閣』で交わるふたつの生活 『サラバ』で第152回直木三十五賞を受賞した西加奈子氏が、2006年に発表した小説である。「底辺」とか「場末」という言葉似合う工場勤務のおっさんと、スナック勤務の女性の生活が交互に描かれながら、大阪の「通天閣」を交…

「動く鎧」って食べられるの!?〜九井諒子『ダンジョン飯』

ダンジョン飯を召し上がれ 『ダンジョン飯 1巻 (ビームコミックス(ハルタ))』は九井諒子の新刊で、ウィザードリィのようなダンジョンファンタジー世界において、金と食料を落としてしまった主人公パーティが、現地調達した魔物を料理しながら冒険を続ける…

岡本欣也『「売り言葉」と「買い言葉」心を動かすコピーの発想』〜それを伝えられた人はどうしたくなる?

コピーライターは「翻訳業」 本書は「日本郵政」や「キリン」などの広告を手がけた事で知られるコピーライターの岡本欣也氏による「コピー」の解説書である。そもそも「コピー」とは広告内で使われる言葉であり、見出しにあたる「キャッチコピー」、補足説明…

西村賢太『二度はゆけぬ町の地図』〜『苦役列車』の前日譚となる私小説において「自虐的な道化師」として描かれる貫多の日乗

二度はゆけぬ町の地図 本書は、中卒で日雇労働をしながら、酒と女に蕩尽してきた筆者の「私小説」である。西村賢太について、僕としては『苦役列車 (新潮文庫)』の芥川賞受賞が話題として消費されつつあり、作者が甚だ不満だという映画化をされてから知る事…

『"文学少女"と死にたがりの道化』〜太宰にシンクロする青春のほろ苦さ

文学少女と「場」が引き起こすループ 「文学少女」シリーズとは文学を物理的に食べて生きる「文学少女」と、覆面の天才小説家だった過去を持つ主人公が織りなす学園青春ミステリーである。その一作目である本書では、太宰治の『人間失格』を軸に、今まさに起…

未(ひつじ)を巡る冒険が始まる朝に100%の女の子と出会うことについて〜村上春樹『カンガルー日和』

カンガルー日和 「ねぇ、年越しに読む本は何がいい?」 そんな台詞から始まった会話は「未年にちなんで羊が出てくる作品が尊い」という結論になった。『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』や『羊をめぐる冒険』を想起したが、同じ羊男ならばと『カンガル…

2035年からの終活戦線、「弱いつながり」だけでは異常アリ〜吉田太一『孤立死 あなたは大丈夫ですか?』

「孤立死」の問題 テレビのドキュメンタリーにおいては「孤独死」という言葉がピックアップされる事が多いけれど、日本政府においては「孤立死」という言葉になる事も多いのだそうだ。確かに「孤立死」という言葉の方が、親族や気にしてくれる人が周りにいた…

2014年に読んで「ほんのちょっと」だけ人生が変わった5冊の本

photo by homestilo 今年読んで良かった本まとめ 今年は例年よりも読書量が大分少なかったのだけど、その割には得るものが多い読書体験に恵まれる機会が多かった。「ブログに感想を書きたい」「Skype読書会で話したい」という動機で自分の言葉で説明できるよ…

Kindleヘビーユーザーの唐突な本棚晒し祭りで「中途半端な本」を晒す

唐突な本棚晒し祭り 祭りに便乗して晒してみる。最近はKindleでばかり買っているし、物理本は結構手放したので、それでも本棚に残っている書籍は少し特殊な位置付けにある。道重さゆみ様の写真集とか。 春樹棚

『風の歌を聴け』再々読〜「風の歌」とは何か?

『風の歌を聴け』再々読 『風の歌を聴け (講談社文庫)』を15年ぶりに再読したのはちょうど1年前。決してハルキストとは言えなかった僕は「はしか」に掛かったかのように読み直していって、パロディらしきものも書いている。本日は『風の歌を聴け (講談社文庫…

共著した電子書籍出版が間近なので電子書籍はスマホやブラウザからでも読める事をあらためて周知したい

電子書籍はスマートフォンやブラウザからでも読めますよ 11月14日に共著者として参加させて頂いた『レールの外ってこんな景色: 若手ブロガーから見える新しい生き方』が発売されるのですが*1、電子書籍について会話すると「タブレットとか専用端末を買わない…

第4回Skype読書会「徹底解読『風の歌を聴け』(村上春樹)」開催のお知らせ

第4回Skype読書会 第4回Skype読書会は『風の歌を聴け (講談社文庫)』 を題材に下記の要項で開催することとしましたので、よろしければご参加頂ければと思います。Skype読書会とは事前に課題図書を読み込んでおいて、Skypeによる音声チャットをしながらGoogle…

内田樹『街場のメディア論』〜贈与と反対給付義務の「前借り」で読み解くメディア論

講義録のような「街場」シリーズ 内田樹の「街場」シリーズ4作目。「街場」シリーズとは、大学でのディスカッションのテープ起こしを元に書かれた本であり、既に多数の「街場」本が出版されている。 街場の現代思想 (文春文庫)作者: 内田樹出版社/メーカー: …

『地獄先生ぬ〜べ〜NEO』〜12年後の僕らは「ぜんぶ悪霊のせい」とは言えなくなったけれど

地獄先生ぬ~べ~再び 『地獄先生ぬ~べ~』と言えば中学生になろうとしていた僕のバイブルであった。「鬼の手」を持つ小学校教師ぬ~べ~の圧倒的な強さや優しさを軸にしながらも、妖怪、都市伝説、時事ネタ、ホビー、ラブコメ、お色気などの要素がないまぜ…

Kindle Voyageの中身は基本的にKindle PaperWhiteと同じなのね

Kindle Voyageが発売 『Kindle Paperwhite (第6世代) ―Wi-Fi』のヘビーユーザーで、殆んどの書籍はKindleから買っているので、『Kindle Voyage Wi-Fi、キャンペーン情報つきモデル、電子書籍リーダー』についても期待していた。確かに高解像度で、ユーザーイ…

『私のご飯がまずいのはお前が隣にいるからだ』〜メシマズになる料理ウンチクに気をつけたくなる漫画

私のご飯がまずいのはお前が隣にいるからだ 思わずドキリとさせられる強烈なタイトル。確かに同席をすると「ご飯のまずくなる」相手というのは居て、ひたすらマウンティングや話の否定をしてきたり、興味のない話題をごり押ししては反応が悪いとご機嫌ななめ…

岡田斗司夫の『「いいひと」戦略』は「イヤなひと全損社会」の背反を考えれば分かりやすい

「いいひと」の定義 もし「表層的な偽善者」が「いい人」だと評価されるのが「評価経済社会」だとしたら、そんなうさん臭い未来は心配しなくてもやって来ないので大丈夫です。なぜなら何度もいうように、「いい人」を“演じて”もバレるから。上っ面だけ整えた…

「情報はフリーになるべきだ」から「情報はフリーになりたがる」への変遷にみる「モノの式神化」

「情報はフリーになりたがる」の歴史 「情報はフリーになりたがる」という言葉は、なんとなく聞く機会が多いです。インターネットに限らず、情報を引き出すためのコストは下がり続け、提供者の側も無料であることを前提としている人が多いです。『フリー~〈…

ソーシャルメディア時代における「本当の私」はどこにある?〜平野啓一郎『私とは何か――「個人」から「分人」へ』

「分人」再検討 本書は平野啓一郎が自著の小説である『ドーン』で描いた「分人(dividual)」という概念について、著者自身の自伝的な要素を含めて一般に向けて解説した書籍である。 ドーン (講談社文庫)作者: 平野啓一郎出版社/メーカー: 講談社発売日: 201…

岡田斗司夫『いや、上京するの面倒くさいし地元の方が楽だよね』〜地元で楽に暮らせるナリワイを作るには「えこひいき」されるようにしよう

地元志向とネット 本書は香川県で行われた岡田斗司夫の講演「ネット時代こそ地方在住者のチャンスだ!」を再構成した電子書籍である。東京と地方での活動の違いや、今後の働き方や人口流動などが話題になっている。 無理やり一人暮らしする必要はないし、親…

毎日新聞社『リアル30's "生きづらさ"を理解するために』〜何かを期待して裏切られた世代のダウナーなオフ会

30代のリアル 本書はいわゆる「失われた20年」に青春期を過ごして、就職時には氷河期だった30代の人々へのインタビュー集である。現在における30代の人々はバブル景気の中で幼少期を過ごし、学歴重視や大手企業信奉の非常に強い時期に青春を過ごしている。そ…

乱読期に入ってる時ほど、確証バイアスには気をつけた方がよい

photo by Sunciti _ Sundaram's Images + Messages 今週のお題「読書の夏」 連続日帰り出張から一旦は開放されてゆとりが出来たので読書が捗る。通勤経路や家でも頭が働くかという問題は僕にとって非常に大きい。『キンドル買った』にもあったけど、『Kindle…

暇なので「本好きへの100の質問」に答えてみた

photo by Valerie Everett 本好きへの100の質問 名義上のカノジョにおねだりされたので『本好きへの100の質問』に答えてみた。「100質」ってまた随分と懐かしい。本は好きだけど最近はあまり読めてないので読書家っぽくは振る舞えない。 001. 本が好き…

東浩紀『弱いつながり』〜環境管理型権力を出し抜く「観光客」の生き方

Googleが予測できない言葉を手に入れろ! 東浩紀の新著である『弱いつながり 検索ワードを探す旅』。現代日本におけるインターネット論でありながら旅行記でもあり、著者の思想が平易な言葉で引用・解説されながら、一種の自己啓発的な様相も帯びる自在性が…